見るとメールが届いていて、相手は快斗だった。

“この後、一次会で抜けない?ちょっと話があるんだ”

その内容に、私は顔を上げると、遠くの席の快斗に目を向けた。

快斗は少し複雑な表情でこちらを見ていた。

私は何だろう?と思いながらも、“分かった。”と短い文章を快斗に
送った。

もしかしたら、親に挨拶に行く予定かもしれない。

快斗の表情が少し引っ掛かりながらも、私はその話の内容が後ろ向きなものだとは疑わなかった。

そして、一次会が終わると皆、二次会をどこにするかで盛り上がっていた。

私は皆に「すみません。今日は先に帰ります」と、ぺこりと頭を下げた。

快斗も「すみません。僕も先に上がらせてもらいます」と私に続いて申し訳なさげに挨拶をした。

「お二人でこれからどこ行くの?」

酔った皆がはやし立てる中、私と快斗は恐縮しながらその場を後にする。

その時、朝比奈君がこちらを鋭い眼差しで見つめていたのを
私は気づかないふりをして歩き出した。