「ちょっと、すぐには予定を決められないから、近いうちにお昼休みでも時間を取るよ」

私は、仕方なく妥協案を提示する。

今日は、さすがにお酒がかなり入っているので、異性と二人で会うのはまずいと思う。しかし、素面の時で、昼の時間帯ならば問題ないだろう。

「分かりました..」

朝比奈君は少し不服そうに答えながらも承諾すると、「約束ですからね」
と少し念押ししてから自分の席へと戻って行った。

「ええっ~、なんで断っちゃったの?」

朝比奈君が去ったあと、栞奈がつまんなそうに呟いた。

「当たり前じゃない。彼氏がいるのに。」

「柚葉は真面目だよね。」

栞奈は「折角、面白くなってきたと思ったのに...」と肩を落とすと
メニュー表を開いて、芋焼酎のロックを注文した。

こんなことで、快斗に疑われて結婚が破談にでもなれば、洒落にならない。

私は「面白くなくていいの..」と呟きながら、ビールを口に含んだ。

すると、ブブブッとテーブルの上のスマートフォンが振動しているのに気付いて、手に取った。