「言われたってもんじゃないわ。
あの小娘、どういう育てられ方したらあんな性格曲がるのよッ。
むかつくから、笑顔で言い返してやったわ。」


私は反撃したことを意気揚々と語る。


「なるほど····」


朝比奈君は納得したようにクスリと微笑んだ。


「元気を取り戻したようですね··」


「元気なんかじゃないわ。ムカついて今日は眠れそうにないんだから」


言われてみれば、悲しみは吹き飛んでいる。

しかし、それと引き換えにはらわたが煮えくり返るほどにムカついているのだ。


「僕でよければ、今夜、添い寝しましょうか?」


朝比奈君はそう言って私に微笑みかける。


「結構よ」


「残念です。僕の腕枕は評判いいんですよ。
眠れないときはいつでも呼んでください」


朝比奈君は「すぐにかけつけますよ」と楽し気に私をからかってくる。


私は「呼ぶことは一生ないわ」ときっぱり断る。

朝比奈君は「それはどうでしょうか」と余裕の声色で笑った。