「二人とも、ここは会社よ。悪口ならちゃんと会社の人のいないところで話しなさい。」


「は、はい…。すみません。」


浜名さんが怯えた声で呟いた。


しかし、沙苗ちゃんはキュッと口を噤んだままだ。


「それと、口うるさくされたくないのなら、
頑張って自分たちの仕事のスキルを磨くことね。
その為には電話応対も勉強の一環よ」


「はい...」


浜名さんが体を縮こませながら返事をした。


しかし、沙苗ちゃんに鏡越しに目を移すと
不貞腐れたような表情で口を開くことはない。


余程、私のことが嫌いなのだろう。


まあ、ここまで言われて好かれたいとも思わないけど。


私はハンカチで手を拭うと、「じゃあ、昼の始業時間に遅れないように来なさい」そう言ってトイレを出ようとした。

その時、

「秋月先輩っ!!私、倉木リーダーと寝ましたっ」

出ようとする私を引き留めるかのように沙苗ちゃんが口を開いた。