「えっ、なんで?」


「だって···、あの人、いかにも自分は出来る女ですって雰囲気醸し出してて、キモくない?」


キモイ...?


「男性社員に柚葉嬢ってちやほやされて、自分はモテるって勘違いしてるところも大嫌い。30過ぎのおばさんのくせに。」


30過ぎのおばさん...


昨日、仕事も出来て憧れていると言っていなかったっけ?


まあ、お世辞だとは分かっていたが逆にこんなに嫌われていたとは...


次から次へと、沙苗ちゃんから出てくる私の悪口を私は至って冷静に聞いていた。


むかつくことはむかつくのだが、この子から出てくる言葉は私に対して嫉妬に聞こえる。


そして、その嫉妬心から自分は私より優れていることを誇示するために快斗を寝取ったのかもしれない。


私は、ふうっと息を吐くとガチャリとトイレの個室のドアを開けた。


そして、空いている洗面台へと足を進めると、何食わぬ顔で手を洗いだした。


「あッ、秋月先輩...」


浜名さんは聞かれていたことに、真っ青な顔で呟いた。