沙苗ちゃんは女性にも男性にもボディータッチは多い。

私は友達でもあまりべたべたと触られるを好まないので、正直沙苗ちゃんは
苦手なタイプだ。

しかし、沙苗ちゃんは栞奈にはボディータッチすることはないので、ちゃんと人を選んで対応している辺り、したたかと言えばしたたかなのだろう。

まあ、私にとってはそんなことはどうでもいいことだ。

それよりも、先ほどの話の続きを、

「栞奈、実は私ね...」

再び、口を開いた。


「秋月先輩」

しかし、私の声は後ろから降ってきたハスキーな低音の声に遮られた。

後ろを振り返ると、同じ部署の後輩の朝比奈航(あさひなこう)
私を見下ろしていた。

くっきりとした二重の瞳がこちらを凝視していて、その端正な顔立ちに思わずゴクリと喉を鳴らした。

朝比奈航は26歳で、元営業部のエースだ。

しかし、営業部で優秀だった彼は
何故か1年前にうちの商品開発部に異動してきたのだ。

180センチ以上あるのに、甘い顔立ちが威圧感を与えることがない。

その甘いな顔立ちと営業部時代の実績から快斗より女性には人気があった。