沙苗ちゃんがグラスに注いでいる最中、その豊満な胸に思わず釘付けになる。

Fカップくらいあるだろうか...?

Aカップを寄せて集めて頑張っている私にはないもので、ついつい目が入ってしまう。

「あ、ありがとう。そのぐらいでいいわ」

つい沙苗ちゃんのバストに見入っていたあまり、ビールが溢れ出しそうになっているのに気づいてストップをかけた。

私は、二日酔いを覚悟して溜め息を吐いた。

「さすが柚葉先輩ですよね。美人で仕事もできるなんて憧れちゃいます。
それに30(・・)歳には全然見えないですし。」

そこで何故年齢を引き合いに出してくるのか、突っ込みたいところだが、苦笑いしながら「そんなことないよ」と謙遜した。

沙苗ちゃんは、私をひとしきり持ち上げた後、再び他のターゲットを見つけ、ビール瓶を手に嵐のように去って行った。

「私、あの子苦手なのよね。」

栞奈が、別の上司のお酒を注ぐ沙苗ちゃんを見ながら毒を吐く。

私は“でしょうね..”と心の中で呟きながら苦笑いした。

沙苗ちゃんがいる間、栞奈はあからさまに嫌そうな顔で終始無言でお酒を飲んでいたのだ。

いくら苦手な相手でも、気を遣って接してしまう私にとって、栞奈のその正直な隠さない性格はある意味羨ましかった。

「まあ、悪い子ではないんだろうけどね..」

私は一応祝福の言葉を貰った手前、沙苗ちゃんの肩を持つ。

「そう?私、あの子かなりしたたかだと思うけど。」

栞奈の冷ややかな視線の先には、男性上司に笑いながらボディータッチをしている沙苗ちゃんの姿があった。
男性上司も沙苗ちゃんのふくよかな胸が腕に当たり、嬉しそうにお酒を飲んでいる。
男というものは単純なものだ。