「止めるって……なにをですか?」

「そんなの当然決まってます! ヴァージル殿下と私が裏庭で会っていること、ご存知なんでしょう?」

「はぁ……」


 なんだそりゃ。ツッコミどころが満載過ぎる。

 何故わたしが二人を止めなきゃならないのか。
 止められるべきことだと分かっていて、何故逢瀬を続けるのか。
 どうして逢瀬を止められたいと思うのか。


(意味わからん。会いたいなら会えばいいじゃない。わたしは止めないし)


 非難がましい瞳でわたしを見つめてくるカトレアに、わたしは盛大なため息を吐いた。


「どうでも良いから、です」


 端的に、問われたことだけに答える。それから踵を返したら、ぐいっと腕を引っ張られた。


「痛っ……」


 なにすんだ、この女。痛いし、そもそも失礼だろう。


「どうでも良いってなんですか! 殿下のこと、好きなんでしょう?」


 ムッと唇を尖らせ、カトレアがわたしの道を塞ぐ。なんでか怒っているらしく、顔が真っ赤だ。