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「殿下のこと、このままでよろしいのですか?」


 それから数日後、わたしは一人の男性に声をかけられた。

 赤髪に金色の瞳、逞しい体格の持ち主で、ヴァージル殿下の近衛騎士を務めている男性だ。19歳で、既に学園を卒業済み。護衛として学園に通っている。わたしはヴァージル殿下ルートしかプレイしていないからよく分からないけど、たしかこのゲームの攻略キャラの一人だったはずだ。


(なんて名前だったっけ)


 全然、思い出せない。
 じっと男性を見つめつつ、わたしはコホンと咳払いをした。


「このままで、とは?」

「カトレア嬢が殿下に急接近しているようです。貴女は殿下の婚約者でいらっしゃいますし、気になるのではないかと」


 どうやらわたしを心配してくれているらしい。――――いや、もしかしたら殿下の指示――――意向調査というものだろうか? まあ、どちらでも構わないのだけど。