執事長に面会を断る様命じて、暫くが経った頃。

庭の方から何やら揉めている様な声が聞こえた。

私はゆっくりと椅子から立ち上がり、バルコニーへ出た。

「困ります、殿下!セレア様は床に伏せっておられます!」

「そのような嘘はつかなくてよい!セレアに一目合わせてくれ!」

執事数人でなんとかノア様を抑えている状況だった。

このままではノア様は帰らないだろう。

私は落ち着いて息を整えて、バルコニーからノア様に呼びかけた。