女は家庭に入るもの、料理はできて当たり前。
そんな常識、私こと白凪舞子には通用しない。
新卒入社面接で、意気込んで「編集長になりたいと思っています」と断言した程私は仕事に生きると決めていた。
結婚なんて私のライフプランにはなかった。
結婚、出産、育児で女は自分のキャリアを断たれる。
おひとり様と揶揄されようが、私は私の道を行くだけ。
そう思っていたのだけれど……
「ただいまー」
「ママ〜!おかえり〜!!」
「ただいま咲玖〜!ああ疲れた心に沁みる天使の笑顔…」
私を笑顔で出迎えるかわいい娘にデレデレなのが現実である。
「舞子さん、おかえりー。ごはんできてるよ〜」
「ただいま。いつもありがとう、巧くん」
「きょうハンバーグなんだよ!パパのハンバーグだいすき!」
「そっか〜咲玖はパパのハンバーグ大好きか〜」
エプロン姿で鼻の下を伸ばす彼は、私の夫。
私の人生にイレギュラーをもたらした人だけど、想像以上に楽しい生活をできているのは彼のおかげだと思う。