【芹奈side】
「お嬢ちゃ〜ぁん、ひとりぃ〜?」
手ぶらでフラフラと家に帰ろうとしていた
私の腕が後ろから強く掴まれた。
突然の接触に驚いて、
肩がビクッ、と跳ね上がる。
顔を上げるとガタイのいい、
チャラそうな男と目が合った。
「あ、結構可愛いじゃ〜ん」
男は目が合うなり不気味な八重歯を光らせて笑った。
「ほんとだ〜ぁ」
横から別の男も出てきて
完全に取り囲まれてしまった。
「もう暗いしさぁ〜、俺らと遊ばねぇ〜?」
気持ち悪く伸びたその語尾が。
自分に向けられたその好奇の目が。
気持ち悪くてうっ、と
吐き気が込み上げてきた。
「…や。、…」
やめてください、の言葉1つ
まともに出てこない。
骨が折れるんじゃないか、って
ぐらい私の右腕は男に強く掴まれてて、
振り払おうとしたけど圧倒的な力の差が
あって、とても無理だった。
「あっち行こぉ〜?」
さらには左腕も掴まれてしまって、男2人は
私をどこかへ連れていこうとしていた。
「や……っ、やめ…て…」
蚊の鳴くような声しか出せず、
なんだか自分が情けなくなった。
「なぁ〜んにも
怖がる事はないから…安心してねぇ〜」
「きゃっ…」