全部を見るのはすごく時間がかかるから、所々早送りしながら、龍踊りが終わったところで、映像を止めた。

「すごーい!」

「コレ、私達がやんの!?」

「てか、龍も手作りってこと…?」

みんなの反応はバッチリ。
進藤さんと真翔のほうを見たら、二人も満足そうに頷いてくれた。

「まず、この通りにやるのは不可能だと思います。時間的にも体力的にも。なので五分から十分程度の短い物にしたいと思います」

「だったら私、ショートバージョン作ってあげる」

「え?」

手を挙げたのは高嶋さん。
確かダンスをやっていて、たまにみんなの前で踊っていて、すごく明るい子って印象だった。

「ダンスのコンテスト用でさ、ショートバージョンに編成したりしてるからさ。ちょっと得意なんだよね」

「本当に!?じゃあお願いしていいかな!」

「いいよ」

黒板に「演目編成…高嶋さん」と書く。

「玉は、球体の物に紙を貼り付けていけば結構短時間で作れると思うんですけど、問題は龍です。本当は十メートルくらいあれば凄く迫力が出るけど、制作時間も、実際にそれを持っての練習時間も限られているので、五メートルにします。頭と、胴体を三つくらいに分けて、そして尻尾と繋ぎ合わせます。これは十人くらいの人にお願いしたいんですけど…橋本くん」

「え、俺!?」

突然名前を呼ばれた男子がガタッと椅子を鳴らして立ち上がった。

橋本くんは真翔の友達だ。
プラモデルとか大小様々な模型を作ることが趣味で、おうちが町工場をやっているから、その敷地を借りて結構大きい物も作ったりしているらしい。

「模型を作るのが凄く上手だって聞きました」

「おーい、真翔ー、お前だろ」

「こいつ、ほんとにスゲーよ!」

真翔の友達たちが応戦してくれる。

「素人だから!」って橋本くんは焦ってたけど、「頼むよ」って真翔の一押しで、橋本くんは折れてくれた。

「真翔ー!貸しだからな!」

「分かった分かった」

「橋本くん、ありがとう。じゃあ、あと九人、物作りが好きとかやってみたいって人で立候補してくれる人、居ませんか?」

残りの九人中、三人は橋本くんが自分の友達を道連れに強制的に入れた。
あと六人はやってみたいって人達が立候補してくれて、黒板に名前を書いた。