「だめ?」

スッと顔を前に戻して、さっきみたいにまたジッと俯いた。
背後の会話に聞き耳を立てる。
本当は聞きたくなんか無いのに。

悪口言われるに決まってる。
笑われるに決まってる。
怖い。

「真翔、本気で言ってんの?」

「なんで?だめなの?」

他の人達は何も言わない。
そこから居なくなっちゃったみたいに、武田さんと小高くんの声だけをみんなが黙って聞いていた。

「小高くんの輪」に入れない生徒達が面白がってこっちを見ている気がした。

みんな思ってるんだ。
武田さんに、頑張れって。
もっと強く言って、小高くんにさっきの発言を撤回させろって。

「だってこの子、違うじゃん」

「違うって?」

「みんなと」

「何が?」

「キャラが」

武田さんがはっきりと言った。
誰かが堪えきれずにクスッて笑ったのが聞こえた。

でも、小高くんもはっきりと言った。

「じゃあお前はなんなの」

その声は「気がする」んじゃなくて、確かに怒ってた。