「え、ちょっと待って」

フードを掴んでいた女子が、全部脱がそうとしてくる。

「ゃめッ…」

女子二人でパーカーを引っ張られて、勝てなかった。

パーカーの下は夏服のカッターシャツ。
半袖だから、腕が全部露になった。

「こいつ、マジ…」

水の女子が私の左腕を自分の目の前に持ってきて、まじまじと見る。

「うーわ。そっち系?」

「変だと思ってた。だって体育だってもうみんな体操服なのに、九条さんだけずっとジャージだったし」

「えー、ねぇ、小高くんが先生に羽織りのこと言ったのもこれの為なんじゃない?」

「てかさー、このパーカーもしかして小高くんのぉー?なんかあんたが着てるわりには大きいなって思ったんだよねぇ」

「返して…返してよ!」

水の女子の手元に渡ったパーカーの袖を掴んで引っ張った。
女子も引っ張ってたのに、急にパッと手を離されて、その勢いで転んでしまった。

「あはッ…あはははは!ごめんごめん、ほら、返したよ」

「小高くんのパーカーならほんとムカつくけど、あんたの物になった瞬間に価値無いわ」