教室のドアに手を掛けたら、カラカラッて軽い音と一緒に開いた。

「真翔…?」

「もー遅いよー、ま・つ・りちゃん!」

「…」

真翔は居ない。
待ってたのは、武田さんのグループの女子達だった。

「おはよ」

私に近付いてきて、ニヤニヤと笑っている。

バカだ。
ちょっと怪しいって分かってたのに、まんまとハメられた。

「武田さんは…」

「呼んでないよん」

「教室じゃ出来ない話…?もう朝礼始まっちゃうよ」

「だからだよ」

「だから?」

「九条さんがギリしか来ないのは知ってたしー、朝礼が始まれば誰もこんなとこ来ないしね」

そうか。これは計画的なことなんだ。
私は女子達に、さっきのカードを見せるようにして言った。

「これは?誰が書いたの」

「私の弟」

一人の女子が言う。

「中二なんだけどね?やっぱちょっとは男子っぽい字がいいと思って」

「なんでそこまでするの…」

さっきまでニヤニヤと嫌な笑みを貼り付けてた、私に水をかけた女子がスッと真顔になって言った。

「気に入らないからだよー。九条さんさ、本当に小高くんのなんなのー?」

無表情のまま、変わらない口調が余計に怖かった。