「どうしたの、りいさ」

「どうしたって何が?」

「え、私のこと庇ってくれないの?」

「だってあんたが勝手にしたことじゃん」

「ずるくない!?りいさだって面白かったでしょ!?」

女子の声が響いて、「ちょっと…!」って先生が入ってきた。

「騒ぐなら出ていきなさい!」

「先生、ごめんなさい。静かにするんでもう少しだけ。大事なことなんです」

進藤さんが言って、先生は渋々譲ってくれた。

「別に面白くもなんとも無いよ。あれじゃあタダのイジメじゃん」

「ちょっと待ってよ…りいさだって九条のこと嫌ってるし無視だってしてんじゃん」

「私は私の事情でそうしてんの。もちろん嫌いだよ。仲良くしようなんて思ってない。でもあんたはさ、私に便乗してヤッただけだよね」

「りいさだって…遠足の時、酷いこと言ってたじゃん…」

武田さんが頭を掻いて、息を吐いた。

「あぁ…そうだね。だから謝るよ。九条、ごめん。私の感情だけで傷つけて。私はあんたのことが嫌いだけど、八つ当たりだった」

「え…いや…うん…」

武田さんに突然謝られて、頭の整理がつかなくてどもってしまった私と、武田さんを進藤さん以外の三人が困惑して見ていた。

「あー…分かった。りいさ、しんちゃんと幼馴染だもんね。だからしんちゃんの手前、甘いんでしょ」

苦笑いを貼り付けたまま、去勢を張る女子に、武田さんは軽く首を振って、「そんなんじゃないよ」って小さく言った。