何を思えばいいのか分からない。

なんで私がこんな目に…。
なんでここまでされなきゃいけないの。

弱音が次々と溢れてくる。

進藤さんが居なくなったらふっと体の力が抜けてベッドの上に座り込んでしまった。
脇腹辺りを中心に張り付く制服のカッターシャツが不快だった。

ブレザーを脱いで、ベッドの上に畳んで置いた。

保健室のドアが開く音がして、カーテンが開いて進藤さんが戻ってきた。

手にジャージと体操服を持っている。

「これ、着て」

「でも…進藤さんのだよね…」

「いいから!今日は着ないし、九条さんが持ってきてないならしょうがないでしょ」

「ありがとう…」

「キャミも脱ぐでしょ。代わり、これしか無いけど」

進藤さんは体操服の上も貸してくれた。

「スカートは大丈夫?」

「うん」

「じゃあ、着替えたら呼んで」

進藤さんはまたカーテンの向こうに出ていった。

着替える時、リスカの痕が見えたらどうしようって思ってたから少しホッとした。

心の中で何回もありがとうって唱えるみたいに繰り返した。
窓の外を見上げたら、空が薄い水色だった。

「水色…」

「なんか言ったー?」

「ううん!ごめんね、急ぐね」

十二星座占いは当たった。
ラッキーカラーも当たった。

誰かに認めてもらうのってすごく難しい。
「友達」って奇跡みたいなもんだ。

進藤さんがレジャーシートを受け取ってくれただけでこんなに舞い上がって、
今も私に優しくしてくれて、
みんなはそんな日常を当たり前に過ごしてる。

こんなに奇跡みたいな幸せな瞬間を。

どうして私はその場所に居られないんだろう。

「友達が欲しいだけ」なんて言えない。
「だけ」なんかじゃない。

友達が居ることは、こんなにも奇跡なんだ。