「まつりー!早くしないと授業始まるよ!」

三年生になった。

私はまたりいさと同じクラスになった。

真翔とはクラスが離れてしまった。
でも、もうだいじょうぶ。

私は一人じゃない。

真翔が作ってくれたきっかけにしがみついて、色んな人が握っていた糸に繋いで築き上げた未来。

これから先、傷付くことがあっても、
死にたくなっても、それでも私が前を向いて歩いていくことを信じてくれた人達だ。

転ぶことは痛いし怖いけど、立ち上がれば景色は変わる。

「ごめーん!ちょっと待って!」

ああ、もう。
また前髪が伸びてきてて鬱陶しいな。

今日は家に帰ったら前髪を切ろう。
失敗しても、笑ってくれる友達が居る。

私はだいじょうぶ。

「遅いよ!何やってんの」

「ごめん。教科書、真翔に貸したままだった」

「またー!?ほんっとあいつ、変わんないね」

「忘れ物多いよね。しっかり者なのに」

「まつりが甘すぎるんだよ」

「真翔に甘いのはりいさもでしょ!」

「うるせー!」

りいさが私の肩をはたく。

「こわーい!」

二年生の新学期の時よりも、メイクが薄くなったりいさ。

すごくすごく、可愛いなって思った。
私ももっと、変わりたいなって思った。

つけまつ毛、しないほうが可愛いよって言った時には、「何様だよ!」って怒られた。
おっしゃる通りです。

なのに翌日から、つけまつ毛をやめたりいさは最高に可愛くて愛おしかった。