「おー、頭、完成したんだ?」

真翔が龍の顔をマジマジと見た。

「本物みたいだな」

「俺の技術の高さだよ」

「はいはい」

「でもこの眼の色、本当に凄いね」

進藤さんが言って、千葉さんが照れたように笑った。

「じゃあ頭、繋げようか?」

進藤さんが言って、橋本くんがそっと持ち上げた。

「気をつけて」

みんなで声を掛け合いながら、橋本くんが持ち上げた頭の糊代部分に真翔がしっかりと接着剤を塗る。

「よし」

真翔が合図をして、橋本くんが頷く。

ゆっくりゆっくりと、胴体と頭が繋ぎ合わさって、遂に龍が完成した。

みんなが一斉に深く息を吸い込むのが分かった。

「まつり…?」

真翔が私の顔を覗き込む。

「ちょっと…!なんで泣いてんのよ!」

進藤さんがびっくりしてる。

「うれ…嬉しくて…」

「本番はこれからだよ」

千葉さんは相変わらず呆れたみたいな声を出した。

「ちょっと担いでみようか」

橋本くんが言って、五人でパーツごとに棒を持って持ち上げた。

本番では各パーツを二人ずつで担ぐから、一人ずつだとやっぱり重たい。
これはみんなの想いの重さだ。

この重さを私は一生忘れないでいられるって本気で思った。

貼ったばかりの接着剤は、やっぱりすぐに剥がれてしまって、
みんながそれぞれに「もー…」って呆れながら、
またくっつけた。

みんなでなすりつけあった罪さえもおかしくて、幸せだった。