次の日から、感じたことの無い忙しさが続いた。

私と真翔は演目チーム、進藤さんは小道具チームと、それぞれに役割が決まっていたけれど、実行委員でもあるから、全学年の体育祭の委員会にも参加したし、他のチームの助っ人としても色んな場所を回った。

一番進捗率がどうなるかで全体の流れが左右される龍を作るチームがすごく順調で、橋本くんの技術の高さを目の当たりにした。

高嶋さんの演目の編成もすぐに完成して、プロが作ったと思えるくらい、自然に、そして龍踊りの龍の乱舞で絶対に外せない要素をしっかり汲み取ってくれて、素晴らしいプログラムが完成した。

夏休みに入ってからもクラス全体の指揮は下がることはなかった。
部活や塾であまり参加出来なかった人達も、合間を縫って鱗を作りに来てくれたり、そのたびに差し入れをしてくれたりした。

龍作りの進捗によっては、演目の振り付けや通し稽古は夏休み明け、ギリギリになるかもしれないって思っていたけれど、私の想像を遥かに越えて、全てが順調に進んだ。

八月に入ってからは学校の許可も下りて、担任が付き添うことを条件に週一、体育館で泊まり込みの作業も認められた。

人生で初めての経験だった。

昼間も長時間、教室や橋本くんのおうちの工場を借りたりして作業を進めて、夕方には一旦それぞれ帰宅してお風呂や夕食を済ませる。

部活で体育館を使っている生徒達が帰宅する七時頃、再度集合して、有志で作業を進める。
十人から十五人くらいがいつも集まった。

体育館で泊まり込みの時は、みんな自分のチームを越えて、色んな場所で手伝いをした。
泊まり込みって言っても、二十三時には、担任の鶴の一声によって、全員が強制的に就寝時間に入った。