「美輝……怜……」
石碑に刻まれた日付と名前を見ると、ふたりが確かにこの場所で亡くなってしまったという実感と共に当時の悲しみが押し寄せてきて、一筋の涙が頬をつたった。
「遅くなってごめんね。やっと、会いに来れたよ」
持ってきた花を供え、腰を下ろして両手を合わせ、三十三名の犠牲者へ黙祷を捧げる。
「七年も経っちゃったね」
――耳を澄ませば、みんなの笑い声が聞こえる気がする。
「ふたりは、そっちでも仲よくしてるのかな?」
――ここは、なんて静かなんだろう。
「さっき夢に出てきてくれたよね。なにを話したかまでは覚えてないんだけどさ、会いに来てくれてありがとう」
――静かすぎて、耳が痛いくらい。
「結弦はまだ眠ったままだけど、きっと元気に目を覚ますよ。そのときのためにも、わたしは今日ここまで来たの」
――もう、戻れないんだね。
「それからね、手紙を書いてきたの。結弦のはここに置かせてね」