七色狭沿いを走るバスにしばらく揺られていると、大きな湖が見えてきた。
胸が高鳴る。
この先に事故が起きた場所が待っていると考えると、やはり怖い。
怖いけれど、それも今日までだと思うと、なんとか平静を保つことができた。
「【七色狭】通過します。次は【七色】に停まります」
バスのアナウンスが告げるのは、目的地であり、この旅の終着点。
わたしは自分の気持ちに答えを出して、こんな生き方を終わらせるために来たんだ。
仕事を放棄し、結弦のもとからも去ると決めた。
すべてを捨てた自分に失うものはなにもない。
そう思うと、怖い気持ちがすうっと収まっていく。
窓際の降車ボタンを押すと車内にピンポンと電子音が響き渡り、一斉に紫色の灯りが点いた。
それからしばらくして、バスは【七色】で停車した。