「琴音さんは、これから慰霊碑へ?」

「はい。バスには友人達と乗っていたんです。でもわたしは事故現場が怖くて一度も行けなくて、随分遅くなっちゃいました」

「それは気の毒に。でも、ようやくこうして、会いに来れたのね」

「はい。今まで来れなかったことも、きちんと謝りたくて」

「謝らなくても、あなたが元気な姿を見せてくれることが、お友達は嬉しいんじゃないかしら」


 遙さんの言葉に、なにも返すことができない。


「そういえば、琴音さんは七色(なないろ)の言い伝えって知ってる?」


 それは聞いたことがない。

 慰霊碑の場所を調べた時でさえ出てこなかった。

 変わった地名だとは思っていたけれど、伝説かなにかあるのだろうか。