会釈をしてテーブル席に腰をかけ、改めて店内を見渡した。
木目を基調としたシンプルな内装。
暖色の照明は空間にやわらかなぬくもりを与えていて、外のテラスへと続くふたつの大きなガラス扉が、そう広くない店内にそれ以上のゆとりを感じさせている。
座って店内を眺めていたわたしに、トレイを持った男の子が、そこに載せたグラスとおしぼりを落とさないよう慎重に近づいてきた。
「どうぞ、おねえちゃん」
「ありがとう。お手伝いして偉いね」
そう声をかけると男の子は「へへっ」と笑って人差し指で鼻をこすり、小走りで奥へと戻っていった。
男の子の背中を見送り、メニューに目を落とす。
オムライスが数種類とカツがあるかないかのカレーライス、他には飲み物だけというシンプルなメニューがおいしそうな写真を添えて載せられていた。
どれもおいしそうだけれど、こういうときにさくっと決められないのは悪い癖だ。
悩みながらメニューをめくっていると、表紙におすすめが書いてあることに気がついた。