――目覚めると頬が濡れていた。

 どうやら夢の中だけじゃなくて現実に泣いていたようだ。

 本当に美輝と怜がそこにいるような、妙にリアルな夢だった。

 しかし、頭が冴えてくるにつれて、夢の内容は手の平にすくった水のようにわたしの記憶から零れ落ちていった……。


 十一時になる頃、やっと七色狭に近い市街地に着いた。

 電車での旅はここまでとなり、七色ダムまではここからバスで一時間ほどだ。

 駅前のバス停で時刻表を確認すると、次のバスは十三時半と記されていた。


「丁度いいから、ごはんにしようかな」


 時間に余裕ができたので、お店を探して少し歩くことにした。