「毎週来てくれているみたいで、ありがとうございます。妻から聞いています」


 どこか疲れを漂わせている結弦のお父さんは、俯いたまま両手を握り、そのまま静かに話し続けた。


「いつか、あなたに話そうと思っていたのですが……」


 重い空気が病室を満たしていく。


「結弦はいつ目を覚ますかわからない。こんな状態がもう七年も続いています。医者からはこの先目を覚ます可能性も低いと言われているし、あなたももう大人の女性になっている。なのにこのままあなたの大切な時間を結弦のために使ってもらうのは、あなたのためにはならないと思います。あなたの御両親にも申しわけない。だからどうか、あなたも無理はしないでください」


 そこまで言うと、結弦のお父さんは顔を上げてわたしに目をくべた。