【わさび小僧】を完食すると、それからはたくさん遊んだ。

 お菓子も食べたしジュースも飲んだ。

 結弦のお祖母さんが撮ってくれた浴衣写真を見て、怜が「グラビアみてえ」とけらけら笑ってからかっていた。

 結弦はウノとオセロを持ってきていて、普段はしないことが特別な遊びみたいに思えて楽しかった。

 ゲームが苦手な結弦は何度もビリになった。

 だからわたしとペアを組んで、美輝、怜ペアと闘う。

 ゲーム大好きなふたりのペアにはそれでもやっぱり勝てなかったけれど、夢中になって何度も挑んだ。


 ――辺りはしんと静まりかえり、気がつけば深夜になっていた。


「もう、こんな時間か」


 結弦があくびをかみ殺して言った。


「朝までってわけにもいかねえな。今日すっげえ動いたし」


 怜はキャンディーを口にしたまま、大きなあくびを惜しげもなく披露する。

 美輝は半分眠っているのか、こっくりこっくりと船を漕いでいた。


「美輝、そろそろ部屋に戻ろうか」


 美輝の肩をとんとんと叩くと、眠そうに目を擦って小さく頷いていた。

 疲れているときの美輝は小動物みたいでかわいい。


「じゃあ、そろそろお開きにしようか。明日は八時に朝食だから、頑張って起きるんだよ」

「うん、結弦も怜もおやすみ。また明日ね」

「あぁ、おやすみ」


 結弦に続いて、美輝と怜も「おやすみ」と挨拶を交わす。

 本当は名残惜しい。
 けれど、ずっとこうしているわけにもいかない。重くなった足をなんとか踏み出して、わたし達は部屋へ戻った。