「ずっと連絡できなくてごめんな」
「ううん、わけありなんでしょ。次のお盆にあたしが覚えていられたら、今度はこっちから会いに行ってあげるわよ」
結弦はかき氷を手に持ったまま、みるみる表情を強張らせた。
「葵……もしかして、気づいてたのか?」
「なんとなくね。なんでこんなことしてるのかも大体想像できたわ。まったくあなたも無茶したものね」
「話したいことはまだあるんだけど、あまり時間もなくてさ」
「わかってるわよ。あたしにはあたしのやることがあるみたいだしね」
「……ありがとう、葵」
結弦の言葉を最後に、沈黙が訪れる。
今のやりとりはなんだったんだろう?
ふたりの間では会話が成り立っていたみたいだけれど、子どもの頃の出来事とかが関係してるんだろうか……。
考えたってわからない。わからないなら気にしないほうがいい。
わたしはこの気持ちに蓋をすることにした。
考えてもあまりいい気分にはならないし、気持ちに蓋をするのは得意だったはずだから。