玄関を出て田舎道を歩き始めると、結弦が機嫌を伺うような態度で問いかけてきた。


「えっと、ばあちゃんからなにか聞いた?」

「うん、聞いたよ。結弦が昔好きだった女の子の話」


 嘘だけど。

 でもきっと間違いない。

 さぁ、結弦はどう答えるの?


「えぇっ!? ばあちゃん、そんなこと言ったの?」

「なに焦ってるの? やっぱり好きだったの? その葵ちゃんって子のこと」


 精一杯目を細めて結弦に視線を送る。

 小学校時代の幼馴染みに嫉妬するなんて、わたしってやっぱり子どもなのかもしれない。


「で、でも小学生のときの話だからさ。それにあの頃は携帯も持ってなかったし、引っ越し以来会ってないよ」


 今から会えるかもしれないじゃない。

 嬉しいくせに、なんで隠そうとするのよ。