わからないよ……!
必死に授業内容を思い出そうとするけれどうまく行かない。
時計の針の音ばかりが気になって集中できない。

顔を上げて時間を確認してみると、残り5分になっている。
あと5分でこの問題の数式を思い出して、計算しなきゃ……!
焦れば焦るほどにパニックに陥る。

数式を思い出すどころか、頭の中はどんどん真っ白になる。
どうしよう……!
焦りで額から汗が流れ落ちたとき、「そこまでだ」と、正志の声が教室に響いた。

その声を合図にして純子と未来の緊張が解けるのがわかる。
私もエンピツを置いて大きく息を吐き出した。
結局最後の問題を解くことはできなかった。

でも、それ意外の問題は冷静に解いていくことができたと思う。
プリントは充が回収して行き、修が採点してくれるようだ。
私はギュッと胸の前で手を握りしめる。

緊張が解けたせいか、今頃になって指先が震え始めていた。


「純子、大丈夫?」