「ここで一緒に死ねば、僕たちは一緒にあの世へ行ける。それなら彼岸の世界でも二人でいれるでしょ?」

だから…

「だから、僕と一緒にいてくれませんか?」

その言葉と共に、叶氷は片足を地面につき片手を衣緒へ伸ばす。


『さぁ、手をとって。』と言わんばかりの笑みは、プロポーズをされているように錯覚してしまいそうだ。


「ずっと、叶氷さんといられる…」

彼女が一番待ち望んでいること。

それが手に入るなら、死への恐怖や世間体や正否など、もうどうでも良いことのように思えてくる。

「…やっぱり私、叶氷さんには敵わないなぁ。」

揺らいでいた意思が静かに崩れていく音がした。