「好きな子が近くにいるのに、甘やかさないとか無理だわ」

「好きな子!?」

「気づかなかったの?」

「気づく訳ないでしょ!?」

「じゃあ、これから思いっきり意識して。俺ももう意地張るのやめるわ」

蒼士が私を抱きしめる腕に力を込める。


「蒼士、本気で私のこと好きなの?」


「ずっと本気だけど」


いつもと違う雰囲気に動けない。


「これからもっと甘やかすから」


そう言った蒼士は悪戯をする子供みたいに笑った。