「女のひと、アシュレイの近くにいるだけで、みんな目がハートになるんだ。でもビッキーは違う。ずっと手をつないでダンスおどってたのに、目がいつもとおんなじだ!」

 あぁ、そういうことかと合点がいった。
 
 アシュレイがダンスを避けていたのは、踊りが苦手なのではなく、触れ合うことで無駄な好意を寄せられたくなかったから。

「大丈夫ですよ。私、今まで男性に対して、目がハートになったことなど一度もありませんし。恋だの愛だの、もうこりごりなので。アシュレイ様の魅力も私には効きません。どうかご安心を」

 清々しい笑みを浮かべてはっきり告げると、イアンはもう一度「ビッキーやっぱりすごい!」と言い、アシュレイは驚いた様子でこちらを見ていた。
 
 
「僕の先生、最高だよ! ね、アシュレイ」

「あ、ああ……。そうだね。これからも、どうぞよろしくお願いします。ビクトリア『先生』」

 二人に先生と呼ばれて、言い知れない喜びが胸に満ちた。

 特に、今までどことなく私を警戒していたアシュレイが、ふっと緊張を緩めてくれたのが嬉しかった。


 ……信用してもらえたのかな?

 であれば、これからも益々がんばろう。