正面に座った少年は、足と腕を組んで、大人びた顔で私のことを品定めするように眺めている。

 ……これって、もしかして面接始まってる?
 この家では、お子様が家庭教師を選ぶ方針なのかしら?

 であれば、ちゃんとご挨拶しなければ。

 私は背筋を伸ばして座り直すと、爽やかな笑顔とハキハキした声で自己紹介した。
 
 
「はじめまして、私はここに家庭教師の面接に来ました。ビクトリア・キャンベルです」

「僕は、イアン・クラーク。六歳。だけど、もうすぐ七歳になる。で、ビク、キ?リアさんは、僕の先生になるの?」

「合格を頂ければ、そうなります。それと私のことは、どうぞビッキーと呼んで下さい。私からもイアン様に質問しても良いですか?」

 キリッとした顔で、イアンが「どうぞ!」と言う。

「イアン様のお好きなこと、嫌いなことを教えて頂けますか? 例えばよくする遊びとか」

「あそび……? 勉強じゃなくて?」

「もちろんお勉強は大切ですが、机に座ってばかりでは疲れてしまうと思うんです。休憩の時は何をしたいかなと思いまして」