新たな生活拠点となる新都市は、陽気で明るい街だった。

 建ち並ぶ大きな屋敷や真新しい学校、立派な噴水のある美しい広場。商業メインストリートには馬車と人が絶えず行き交っている。


 本当は両親のいる王都から離れたかったけれど、僻地へ行けば行くほど仕事は見つかりにくい。


 それに一人暮らしも初めてだから、知らない土地で職を探しつつ生活するのは怖かった。


 その点、この街には多少の土地勘があるし、騎士団の副本部もあるから女性の一人暮らしでも安心。


 治安の良さから学校や公共施設も多い。

 あわよくば元貴族の教養知識を活かした職業――例えば、学校の先生や住みこみの家庭教師などの職に就きたかった。


 目当ての仕事に就くためには、これから行く紹介所で良い職場を紹介してもらわなければ。


 私は事前に書き込んでおいた履歴書を再度チェックした。