自室で足首の手当てをしてから、私は家を出るための最終チェックをした。

 クローゼットの中にある旅行カバンには衣類や日用品が詰め込まれており、荷作りはぬかりなく済んでいる。

 資金は、貯めていた分と持ち物を売却した分を合わせると、結構な額になった。

 当面の生活費は心配ない。とはいえ、収入がなければ貯蓄は目減りする一方。

 早く就職できるに超したことはない。職業紹介所には連絡済みで、すでに明日の面接予約を取り付けてある。

 移り住む場所も、女性が安心して一人暮らしできる治安の良い街を選んだ。頭の中でのシミュレーションは完璧。あとは明日を待つのみ。

「ふぁぁ。もう寝よ」
 
 これだけ準備したんだから大丈夫と自分に言い聞かせ、私はベッドに横たわった。

 期待と不安で寝付けないかもと心配していたが、今日は色々あったせいで身も心も疲れ切っていたらしい。

 ものの数分で強烈な眠気に襲われ、深い眠りへと落ちていった。

 翌朝、お陰さまで足首の腫れは引き、痛みもほとんど無かった。

 
 よし、今日からが私の新しい人生の始まりよ。
 行動開始――!