にこやかに「はい」と頷く彼女は可憐で、戦勝記念パーティで見かけた威厳と迫力のある侯爵令嬢だとは、思いもしなかった。
そもそも高位貴族のご令嬢が、家庭教師の面接で我が家を訪れる理由が分からない。
困惑するアシュレイに構わず、ビクトリアは爽やかな笑顔のまま、ハキハキとしゃべり始めた。
「家庭教師の面接に参りました。ビクトリア・フェネリー改め、ビクトリア・キャンベルです。本日は、どうぞよろしくお願いいたします」
「え、ええ……どうも。ですが、なぜキャンベル姓を……? というか、どうして高位貴族のご令嬢が家庭教師を?」
「実家を出ましたので、私はもう侯爵令嬢ではございません。今後は遠縁のキャンベル家の姓を名乗り、職業婦人として生きていくつもりです」
(…………はい?)
「侯爵家を出た? それは、またいったい……」
──かくして、アシュレイとビクトリアは再会し、ふたりの恋物語は幕を開けたのであった。
✻ ✻ ✻
それから、あっという間に時は経ち──。
アシュレイとビクトリアは雇用主と家庭教師という関係から、恋人となり夫婦となった。
出征前に式も挙げず慌ただしく籍だけ入れたため、来春に結婚式を予定している。
そもそも高位貴族のご令嬢が、家庭教師の面接で我が家を訪れる理由が分からない。
困惑するアシュレイに構わず、ビクトリアは爽やかな笑顔のまま、ハキハキとしゃべり始めた。
「家庭教師の面接に参りました。ビクトリア・フェネリー改め、ビクトリア・キャンベルです。本日は、どうぞよろしくお願いいたします」
「え、ええ……どうも。ですが、なぜキャンベル姓を……? というか、どうして高位貴族のご令嬢が家庭教師を?」
「実家を出ましたので、私はもう侯爵令嬢ではございません。今後は遠縁のキャンベル家の姓を名乗り、職業婦人として生きていくつもりです」
(…………はい?)
「侯爵家を出た? それは、またいったい……」
──かくして、アシュレイとビクトリアは再会し、ふたりの恋物語は幕を開けたのであった。
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それから、あっという間に時は経ち──。
アシュレイとビクトリアは雇用主と家庭教師という関係から、恋人となり夫婦となった。
出征前に式も挙げず慌ただしく籍だけ入れたため、来春に結婚式を予定している。