イアンがレティにメロメロになっているのを横目で確認すると、ビクトリアは顔を近づけて、そっと唇にキスをした。

 驚くアシュレイの顔を見て、ふふっと可憐にほほ笑む。

「私があなた一筋だってこと、知ってるでしょう?」
 
 豊かな金の髪をかき上げ、色っぽくウィンクする妻は想像を絶するほどセクシーで魅力的だった。

 あぁ、参ったな。
 自分は一生、彼女には敵わない。
 
「まったく、君はなんて罪な女性なんだ。いったい俺を何度惚れさせれば気が済むんだい?」

「死ぬまでずっと、って言ったら重い?」

「いいや、全然。そんなの当たり前だろう?」
 
 心のままに告げると、ビクトリアが嬉しそうにはにかむ。ちょっぴり照れたように笑う癖が愛おしい。
 
 嘘でも冗談でもなく。自分は死ぬまで、いや……きっとその先も、何度だってビクトリアに心惹かれるのだろう。

「レティがもう少し大きくなったら、四人で写真を撮りに行こうか」

「いいわね! そういえば、店長が新しい魔道写真機を仕入れたって言ってたわ」

 楽しみね――!とビクトリアがほほ笑む。その側ではレティとイアンが、無邪気な声をあげてはしゃいでいた。

 
 家族が集まるリビングに、昼下がりの柔らかな陽光が差し込む。

 光溢れる空間に、クラーク一家の楽しげな笑い声がいつまでも響いていた。
 

 ~ Fin ~



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葵井瑞貴