また、かねてから病の床についていた国王陛下も後を追うように亡くなられ、王室の相次ぐ不幸に国民も喪に服すこととなる。
 
 そんな中、ルイス第一王子が新国王に即位し、年明けすぐに第一子となる王子が誕生。

 おめでたいニュースにより、沈みがちだった国内の雰囲気は次第に明るさを取り戻していった。


 一方、私たちも充実した毎日を送るうちに、あっという間に時は過ぎ。
 季節は凍てつくような冬から、生命の息吹満ちあふれる春へ。
 
 色とりどりの草花が咲き誇る春爛漫の日――。
 
 私とアシュレイは、結婚式当日を迎えた。

 
 
「それでは、誓いの口づけを」

 司祭に促され、ベールがそっと持ち上げられる。
 顔を上げると、愛しい人と目が合った。
 
 タキシードに身を包んだアシュレイは、いつも以上に麗しい。
 まばゆい美貌を綻ばせ、彼は囁いた。

「愛している」

「ええ、私も」

 目を閉じると、唇に誓いのキスが捧げられた。

 直後、溢れんばかりの拍手と歓声に包まれる。光に満ちた白亜の教会内が、人々の笑顔と「おめでとう!」という祝福で満たされた。