「お前には心の底から失望したよ」

「ち、父上! これは何かの間違い……いや、陰謀です! 僕はこの者たちに嵌められ――」

「やめよ。見苦しいぞ、オスカー。王族たるもの、常に民に寄り添わなくてはならない。だがお前は平然と民を(おとし)め、失言と不適切な言動を繰り返してきた。お前は王族に相応しくない」

「あなた! 確かにオスカーは罪を犯しました。ですが、王族に相応しく無いだなんて――」

 愛息子を庇おうとする王妃を、国王がギロリと睨む。
 さすがの王妃も閉口せざるを得なかった。
 
「オスカーがこのように愚かになったのは、末息子可愛さに甘やかしてしまった我々の責任。最後の沙汰を下すのも、国王として、いや、親としての責務であろう」

「父上……母上……」

 玉座に駆け寄ってすがりつこうとするオスカーを、国王が片手を挙げて制する。合図を受けた騎士がすぐさま進路を阻み、身柄を拘束した。

「父上、父上――!」

 オスカーの必死の叫びも虚しく、国王の決心は変わらなかった。

「この国を統べる者として命じる。第二王子オスカーから王族としての地位を剥奪し、禁錮刑に処す」