「いいえ、全て事実です! 拒否すれば家族を殺すと脅され、命令に従いました。しかし、まさか口封じのために自分も殺されるとは思いもしませんでした」

 家族を守るため命令を実行したロジャースだが、剣に迷いがあったため、アシュレイに深手を負わせることは出来なかった。

 そしてオスカーに突き落とされ、崖から転落したかのように見えた二人だが、間一髪、岩肌にしがみつき、事なきを得たという。

 事件の顛末を話し終えたロジャースは、深くうなだれ「申し訳ございませんでした」とかすれた声で謝罪した。
 
 人々は、事件に巻き込まれたアシュレイとロジャースに同情し、悪事を企てたオスカーに怒りと非難の眼差しを向けていた。

 それはオスカーの両親である国王陛下と王妃殿下も例外ではなく――。

 特に国王陛下は、事態をこれ以上なく重く見ている様子だった。