公衆の面前で、失言と愚策の証拠を垂れ流しにされた彼は、顔面蒼白で「止めろ!」と叫んだ。しかし国王陛下に睨み付けられ、ぐっと押し黙る。

 恐らくこの音声はアシュレイが念のため隠し撮りし、ジェイクに託してあったのだろう。
 
 
 どちらが正義で悪なのか、一目瞭然ならぬ一聴瞭然だった。
 

「――このように、殿下とアシュレイ隊長は確かに対立していました。ですがお聞きのとおり、隊長はこの国のために戦う忠義の騎士です。殿下に剣を向けるなどあり得ません」

「僕が嘘をついているというのか!? もういい! 現にここに奴は居ない、それが答えだ。王族への反逆は死に値する大罪。奴だけでなく、その家族も同罪だ」

 オスカーは勢いよく振り返り、私のことを指さした。

「衛兵――! そこにいるアシュレイ・クラークの妻、ビクトリアを捕らえろ!」

 壁際に控えていた衛兵たちが私の周囲を取り囲む。

 オスカーがゆっくりとした足取りで近付いてくる。愉快だといわんばかりに歪んだ笑みを浮かべ、私の耳元で囁いた。

「アシュレイ・クラークも可哀想な男だ。君と関わったばかりに、命を落とすことになったんだよ。はははっ――!」