騎士の隊列から男性が一歩前に歩み出る。マクガレン隊長だ。

 マクガレン夫人が「あの人、何を言い出すの……?」と青ざめる。

 妻の心配をよそに、隊長は国王陛下の御前で堂々と異を唱えた。

「恐れながら、陛下に申し上げたい事がございます」

「許す。言ってみよ」

「寛大なお心に感謝して申し上げます。此度(こたび)の勝利の大きな要因は、アシュレイ・クラーク第一騎士団長が立てた策によるものと私は考えております」

 同調するように、マクガレンの背後にいる騎士達が一斉に頷く。

「彼の策がなければ、短期間かつ最小限の被害で勝利することは不可能でした」

「なんだ、勲章はアシュレイ・クラークにとでも言いたいのか? マクガレン」

 横から口を挟んだのはオスカーだった。
 
 何がそんなに愉快なのか、ニタリと底意地の悪い笑みを浮かべ、騎士の隊列へ視線を向ける。

「だが、そいつはこの場には居ない。何せ、奴は僕を殺そうとして自滅したんだからな!」

 オスカーの衝撃発言に、会場中が一気にどよめいた。