きっと大丈夫……。必ず帰ってくる。


 そう思いながらも、最悪の事態を想像してしまう。
 
 マクガレン夫人から聞いた話によると、騎士が亡くなった場合、騎士団からすぐに連絡がくるらしい。
 
 殉職した騎士の身につけていた認識票と、戦没者遺族への支援金の申請書が送られてくるのだとか。
 
 屋敷に不吉な知らせが届いていたらどうしよう。

 とてつもない不安感と焦燥感に駆られながらも、必死に笑顔を取りつくろう。

 パレードのせいで渋滞しているからか、それとも私の心に余裕がないからか。家に着くまでがやけに長く感じられた。


「ただいまぁ!」

「イアンお坊ちゃま、ビクトリア様、おかえりなさいませ」

 屋敷に戻ってきた私たちを真っ先に出迎えたのは執事だった。
 
 彼は、イアンがリビングに消えたのを確認して、私にそっと一枚の手紙を差し出してきた。

「先程、早馬で届きました。ビクトリア様宛てです」

 早馬で届いた知らせ――。
 
 まさか……。