夫人がキャシーを連れてきてくれたおかげで、不安そうな顔をしていたイアンも、今ではニコニコご機嫌な様子だ。

「心配だとは思うけど、きちんと食べて寝なきゃ。あなたが倒れてしまったらイアン君が悲しむわ。元気な姿で、帰ってきた夫を迎えてあげましょう」

 穏やかな夫人の言葉に、私は力強く「はい!」と頷いた。

 平穏な日常を守るためにアシュレイは戦っている。
 だったら私も、留守をしっかり守り抜かなきゃ――!

 マクガレン夫人の訪問により気力を取り戻した私は、よく食べよく寝て、いつも以上に健康的に過ごすようになった。

 侵攻が報道された当初は『アシュレイ、大丈夫かな』と泣きそうな顔をしていたイアンも、明るく振る舞う私につられたようで、いつもの元気を取り戻していった。

 
 そして開戦から程なくして、我が国の勝利が大々的に報じられた。


◇◇
 
 その日、私とイアンは凱旋パレードに来ていた。
 街頭は多くの見物人でごった返している。
 
「ビッキー、早く早く! パレード始まっちゃうよ!」

「転びますよ、気をつけて!」