それを目の当たりにしたオスカーは、ここに来てようやく、戦の恐ろしさを理解したようだった。顔面蒼白でぶるぶる体を震わせている。

「こっ、この作戦は、お前が立てたのか? アシュレイ・クラーク」

「発案者は俺ですが。漁師たちの知恵があったからこそ実現した策です。民は決して、『死を待つだけの生産性のない輩』ではありませんよ」

 オスカーの失言を引用して告げれば、案の上、彼はふて腐れた顔をした。

「作戦が成功したからといって、図に乗るなよ。お前は、戦争の功績で爵位を得た成りあがり者だ。役に立つのは当然だし、勝たなければお前のような戦争貴族に価値はない」

 早口でまくしたてるオスカー。その不遜な言葉の数々にジェイクが険しい顔になる。

 アシュレイは、自分のために怒ってくれる部下に感謝しつつ『何も言うな』と目で制した。ジェイクが眉間にしわを寄せながら閉口する。

 何も言わないアシュレイに気を良くしたのか、オスカーが鼻でふんと笑った。
 
「殊勝な態度で結構。さて、これからどうするんだ?」