「一体、どう……なっているんだ」

 眼前の大海原を見つめたまま、オスカーは呆然と立ち尽くしていた。

 海上では、迫り来る敵船が次々と座礁し、我が国の火矢攻撃を為す(すべ)なく受けていた。

 巨大な戦艦が海の上でごうごうと赤黒い炎を上げて燃えさかる。

 だが、敵とて無抵抗ではなかった。多数の艦載砲を打ち鳴らし応戦するが、我が国の船は小回りが利くため思うように当たらない。

 そしてついに、敵軍艦は我が国の船にぐるりと包囲されてしまった。

 巨大な敵軍艦が、我が国の小・中型船に包囲され炎上する様は、まさに小魚が鯨を食うかのごとき光景だった。
 
 
 勝負はほとんど決している。が、最後まで油断してはいけないとアシュレイは気を引き締めた。

「マクガレン隊長が上手く敵の船を誘導してくれたようですね。これから敵船に乗り込み制圧します。俺たち陸上部隊は、断崖絶壁を登り陸に上がろうとする敵兵を、一人残らず掃討(そうとう)および確保することです」

「……敵の船は、どうして動けなくなっているんだ。一体、何が起きている……?」