「どうぞどうぞ。持ってってください。この辺は小さな漁村ばかりですが、わしらにとっては大事な故郷なんです。騎士様、どうか守ってくだされ」

「貴方たちの命と大切な村をお守り致します。ジェイク。誘導班を呼んで、この方たちを安全な場所までお連れしろ」

 アシュレイは漁師から受け取った秘伝の海図を手に、会議へと戻った。

 中には、オスカーの姿はなかった。

 マクガレン曰く「ふて腐れておねんねした」らしい。

 これから敵が攻めてくるというのに、子供のようにふて寝するとは肝が据わっている。ある意味、大物かもしれない。

 無駄な横やりを入れられる前にと思い、アシュレイは早速本題に入った。
 
「俺に策があるんです。まずはこれをご覧下さい」

 机の上に広げた海図を、マクガレンをはじめとした騎士達がしげしげと見つめる。

 アシュレイは順を追って作戦を説明した。
 
 ひとりでは気付かなかった空白を、他の騎士が知恵を出し合って埋めていく。

「では、詳細はそのように。誘導作戦の総指揮は――」

 マクガレンが手を挙げた。

「戦場デビューの王子にゃ荷が重すぎる仕事だ。海の方はこちらに任せろ。ただ、あのお荷物王子は連れて行けねぇ。アシュレイ、お前は陸上の指揮と……」

「殿下のお守りは俺が」