決意を新たに立ち上がった時、天幕にジェイクが入ってきた。

「失礼しますよ、隊長」

「普通は失礼する前に声をかけるものだろう。どうした」

「急いでたもんで、すんません。漁村の爺さんたちが『隊長に話したいことがある』って言ってるんすけど」

「避難もせず、わざわざこんな最前線に来たのか?」

「どうします?」

「危険を顧みず訪ねて来てくれたんだ、もちろん会うさ」

「分かりました。みなさーん、うちの隊長が話きくんで、こちらにどーぞー」
 

 天幕に入ってきたのは、現役を引退した元漁師たちだった。
 
 彼らは挨拶もそこそこに、机の上に古びた海図を広げた。

「ここの海は独特の地形をしてましてなぁ。海底がでこぼこしてるせいで、こことここ。あとここも、大型船舶は通れないんですわ」
 
 元漁師たちの知識が、作戦の穴を埋めていく。

 説明を全て聞き終える頃には、まるでパズルが完成するように、作戦がアシュレイの頭の中に出来上がっていた。

「この海については、わしらが一番よぉ知っとりますから。何ぞお役に立てないかと思って、来た次第ですわ。どうでしょ、少しはお役に立てましたかなぁ?」

「ええ。貴方たちのおかげで、良い作戦を思いつきました。この海図、お借りしてもよろしいでしょうか?」